香害
香害は、香水や、合成洗剤・柔軟剤・入浴剤・防虫剤・化粧品・芳香剤などに含まれる合成香料(化学物質)により、不快感などや頭痛、アレルギーなど様々な健康被害が生じることです。人によっては不快感以外に咳・喘息や頭痛、吐き気などの身体症状を伴う場合があり、香料から化学物質過敏症が誘発されたと考えられています。空気中に漂う香り成分への受動的曝露による公害を「香害」と呼ぶようになりました。香料成分をマイクロカプセル化した残香性の高い製品や、洗濯時に香りが強く残る柔軟剤などが香害の発生に関与しています。
確実な治療方法や予防方法はまだわかっていませんが、原因となる化学物質にさらされないことは有効とされています。化学物質過敏症で苦しんでいる方、まだ発症していない方を守るために「化学物質過敏症」へのご理解が必要です。また、公共の場などで化学物質過敏症を誘発する香料(香水、芳香剤、香りの強い柔軟剤・整髪料等)の使用を控えるなどのご配慮をお願いします。
化学物質過敏症
化学物質過敏症は過敏という名が示すように、ごく少量の物質にでも過敏に反応する点ではアレルギー疾患に似ています。最初にある程度の量の物質に暴露されると、アレルギー疾患でいう“感作”と同じような状態となり、二度目に同じ物質に少量でも暴露されると過敏症状を来たします。時には最初に暴露された物質と二度目に暴露された物質が異なる場合もあり、これは多種化学物質過敏症と呼ばれます。
化学物質過敏症はこのようなアレルギー疾患様の性格だけでなく、低濃度の化学物質に反復暴露されていると体内に蓄積し慢性的な症状を来たすという中毒性疾患に近い性格も兼ね備えています。
化学物質過敏症は未解明な部分が多い疾患ですが、このようにアレルギー性と中毒性の両方に跨る疾患、あるいはアレルギー反応と急性・慢性中毒の症状が複雑に絡み合っている疾患であると考えています。
(厚生省長期慢性疾患総合研究事業アレルギー研究班「化学物質過敏症~思いのほか身近な環境問題」パンフレットより引用)
香りへの配慮を訴える啓発ポスター
全国の消費生活センターには、柔軟仕上げ剤などの香りで頭痛や吐き気がしたなどの相談が寄せられています。香りの感じ方には個人差があり、自分にとって快適な香りでも困っている人もいることをご理解いただくこと、香り付き製品の使用に当たっては周囲の方々にも配慮いただくことなどを狙いとして、消費者庁、文部科学省、厚生労働省、経済産業省、環境省でポスターを作成しています。ポスターのタイトルは、当初は「その香り 困っている人がいるかも」でしたが、現在のポスターでは「その香り 困っている人もいます」に変更されました。